◆初診時
自宅玄関にて、段差を上がる際に履いていたサンダルが脱げず足が引っ掛かり前のめりに転倒。
右太ももの中央部前外側を段差の角で強打する。
当初は打ち身の痛みだろうとさほど気にせず、翌日のゴルフも普通にプレーできた。
負傷後3日目にゴルフの練習に行き、急激に右脚の痛みが発生し、足が上がらず自転車が乗れなくなり慌てて来院される。
◆診察
上向きに寝た状態で検査。
右ひざ周囲に浮腫があり、大腿部全体に過緊張が見られた。
ひざの屈曲90度以上で痛みがあり、可動域制限あり。
圧痛は大腿部前面にあった。
立位で、め右脚荷重で痛みあり。立ったままズボンがはけない。
◆治療
うつ伏せになり、大腿部後面の筋肉から治療を開始。
ある程度過緊張が軽減されたところから、次に上向きで治療。
軽く膝を曲げてみるも、引き続き可動域は制限され痛みに変化なし。
膝と大腿部にテーピングを施し、立位で痛みを確認。
テーピングのサポートにより自転車は乗れるようになった。
4日後、再度受診される。
周囲の意見で整形外科を受診してみたとのこと。
レントゲン検査で異常なし、エコー検査で筋の損傷が見られたとのこと。
前回に比べ、膝関節周囲の浮腫は軽減していた。
内出血した跡が膝後面から下腿後面に広がっていた。
膝関節90度より少し屈曲可能となるも、引き続き痛みあり。
外側広筋と大腿直筋、中間広筋に徒手治療法を施す。
二回目の施術にはオイルを使用し患部にアプローチした。これにより打撲を受け血腫が塊になって筋硬結となる繊維が確認できた。
治療後、膝の屈曲もある程度可能となり、普通にズボンをはくことが出来た。
◆考察
本症例は負傷後すぐよりも、2~3日経過して症状が出たケースであった。
はじめは軽い打撲の痛みだけだったものが、じわじわと炎症が広がり、筋肉と筋肉の間、「筋膜間に癒着」が発生し、ゴルフの練習で二次的に負荷がかかった際、損傷部位が広がったものと思われる。
打撲は、損傷の程度により周囲の筋や関節に負傷部位を広げることもあるので、負傷後すぐに処置し、注意深く経過をみながら、治癒に至るまできちんと治療することが大切である。
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